龍勢は巨大なロケット花火であるからして、ノズルに相当する穴に導火線を差し込み、火を点火する。 安定用の竿は竹製であり、約18~20m。龍勢本体は松材のケーシングに竹のタガを填めたものに燃料の黒色火薬を充填する。
燃料の黒色火薬の混合も町内で調合されるのである。先端部分には「吹っ切り」という穴があけてあり、ここまで火薬が燃焼すると、 この穴より火焔が噴出し、外側に仕掛けた煙幕や落下傘などの「背物」の仕掛を分離作動させるという仕組みになっている。
龍勢つくりで不可欠なのが黒色火薬であるが、この主原料である硝石(硝酸カリウム)は、日本のような湿潤環境下では天然では得がたい。戦国時代には輸入に頼っていたが徳川時代に鎖国して以来、古土法と呼ばれる古い家屋の床下にある表層土に微生物の作用によって硝酸カリウムが蓄積したものから抽出して硝石を得るようになった。少量ではあるが戦乱が収まった後の需要はまかなえたらしいです。
この土を水に溶かし、木灰で中和しつつ硝石の結晶を取出す。
最近この昔ながらの方法で硝石を抽出したとのこと。そして、これがその実物。
これを砕いて臼引きして粉末にし、硝石75%・木炭15%・硫黄10%の割合でに調合すると黒色火薬が出来上るが細かな調整は各自、秘伝とされている。
この調合は多分梅雨時で、かつ「しとり」という日本酒を霧状に噴霧しながら湿り気を与えて混合する、摩擦発火を押さえるという
安全対策なんでしょう。(日本酒はお清めの意味合いの方が深いようで、あまり必然性はないとのことです、水分はもちろん必要ですよ。)
以前調べた、花火会社でも火薬調合は梅雨~夏で、冬に乾燥させて翌夏に組立・打上げをするそうですから、昔から火薬を扱う知恵が伝承されてきたのではないでしょうか?
ついで、火薬を松の木筒に充填する、これを専門用語で「火薬をきめる」というのだそうだ。
そのキメ方もがかなり大胆。なんと、火薬を定量いれたあと、樫の木の「きめ棒」なる棒を挿入し、木槌で
思いっきりガンガンたたき込む!(しかも2名で)
爆発などまったく頭にない行動で一見無謀にみえるが、これは、先程の「しとり」である日本酒の水分と、樫でできたきめ棒により摩擦熱発生を押えているのでしょうね。しかし実に微妙なバランス、かつ迷いないころろなくしてできませんね。
素人が好奇心からがマネすると最初の一撃であの世へ直行しかねない。
余計な話をはさむようだが科学の実験で硝石・木炭・硫黄をまぜるのはプラスチックのスプーンをつかう。金属のスプーンをつかおうものなら
その静電気でさえ発火する。
その後のノズル作りも、木工用ドリルでぐりぐりと作成。全体的に摩擦熱が発生しそうな部分が多いのだが、松材とかその辺に秘密があるののかと推測するのみ。
間違っても黒色火薬調合してみようなどと思わないこと・・いや爆死覚悟でもまわりが迷惑するからやめましょう。
龍勢を担いで練歩く若衆であるが、
欧米なら Unbelievable! な光景である。
それは、たとえばこの写真をみても判るだろう。神社への奉納だから御輿のように練歩きたいとはいえ、
5kgほど火薬の装填された花火を担いで練歩く、しかも見物人の脇をである。観客のほうも神事であり危険はないという思いを持つ者同士
日本人の美しい美点である。
反面、今のとにかく、何事も訴訟社会になっている中、県の担当者からみれば、心胆凍りつく光景ではないかと。
安全に、何事も無く無事に終りまた来年も打ち上げてほしいと思います。
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